作品について
この作品を作る際に、はじめに広がりのある構図を作りたいと思いました。
頭の中に浮かんでいたイメージは、どこまでも続いていく草原と大きな空に現れた巨大な雲。
実際には存在しない、空想の中の風景です。
それを実現するためには市販のキャンバスの枠内では難しいと感じ、最終的に50号キャンバスを3枚並べて描きました。
昼ごろから描き始め、気づいたら翌日の朝になっていました。
時間を忘れて夢中で描きあげたのは久しぶりでした。
短時間で完成したこの大作は結果的に自分でも気にいる作品になりました。
そして、作品タイトル「mellow breeze」は銀座のギャラリー・アートポイントの以前のオーナーである岡田春宣さんが作品を気に入り、名付けて下さったものです。
当時で既にご高齢だった岡田さんが今現在(2021年)にどうされているか、僕にはわかりません。
しかし、岡田さんがアトリエで目を細めながらいい絵だね、と言って下さったことは忘れられない思い出です。
このことは、駆け出しだった僕の中に手応えと小さな自信を産んでくれました。
余談ですが、この時に岡田さんは高名な画家であった彼のお父上が使われていた木のパレットを下さいました。
このパレットはまだアトリエにあります。
近日中に作品化し笠間日動美術館さんに寄贈できればと考えています。
美術の窓での記事
美術の窓2008年11月号348頁に記事を掲載して頂きました。
青枢会の第2~9室の記事群です。
以下は記事の転載です。
「原太一「mellow breeze」。地平線の向こうから入道雲がわき上がってくる。圧倒的なイメージである。右上方にバイクに乗った鳥が空中を疾走している。自然のもつエネルギーを独特の表現としてまとめている。」