サッカーの元日本代表DF田中マルクス闘莉王さんが現役引退されるとニュースで見た。闘莉王さんと私は同じ高校出身、クラスは違うが同じ学年だったからいくつか思い出がある。
まずは授業でサッカーのミニゲームをした時。圧倒的な身体能力と体格差で、ボールをキープする闘莉王さんに数人で一斉にかかってもぶつかって吹き飛ばされるか、軽やかに抜かれてしまうかで相手にならなかった。尋常でない強さが脳裏に焼き付いている。
また、私の美術部の恩師・立山正一先生が闘莉王さんのプライベートなサポートをされていたので、昼休みや放課後に美術室へ行くと、たまに彼が一人で弁当を食べていたり、日本語の勉強をしたりしていた。
石膏像が並び絵の具の香り漂う静かな美術室で、体格の良い闘莉王さんが一人黙々と勉強する姿は不思議な感じがした。何度か話をした。今よりずっとたどたどしくはあったが、インタビューで聞くあのイントネーションで私の絵についても何か言ってくれた。一途で真っ直ぐな人柄だという印象が残っている。
何年か前の同窓会、それに出席した私は特別ゲストとして万雷の拍手と共に登場した闘莉王さんに舞台袖で話しかけてみた。
「立山先生がいらっしゃった美術室にたまにいたやつだよ!覚えているかな?」
「んーー、ああ!」
すぐに別の誰かが話しかけてしまい、会話にもならない会話はすぐに断ち切られた。
きっと覚えてくれている。そう信じたい。
ちなみに、彼が登場した時の冒頭の挨拶は
「ごめんなさい、ここにいる人はほとんど覚えていません!!」
であったが、、、
闘莉王さん、本当にお疲れさまでした!!
あなたの活躍は私や周囲の仲間たちにとって希望の星でした。
これからの生活もまた実り豊かなものとなりますように。